「真っ赤な口紅を塗ったすごく綺麗な人よ。
髪の毛がツヤツヤの黒髪の! パクさんの彼女の友達?いや、どうかしら仕事繋がりの人なのかしら。
このカフェで二度一緒に話してるのを見たけど、はっきり覚えてるわ〜あんな美人いないもの。」
ユチョンは一体誰だろうと思った
だって、いつも彼女がここへ来る時は1人だし、他に連れ立って来たとか
そんな話は聞いた事が無いのに。
「その前に来たのは.....ああ!そうそう!彼女さんが体調崩して倒れた時よね!
パクさんが、館内アナウンスで医者を呼んだ時!あれは前代未聞だったわ」
店員は笑っていたが、ユチョンはある心当たりに真っ青になった。
あいつが、彼女と一緒にいた...?
ユチョンは慌てて彼女の携帯電話をオンにすると、再びメールBOXを開いた。
ジェジュンの事に気を取られてばかりだったけれど.....
下へ、下へとメールを追っていくと、ユチョンは指を止めた
あの女の名前が送信者の所に表示されたのだ。
店員に大丈夫だから、と断りを入れカウンターに返すと、ユチョンはカフェを出た。
心臓がドキドキして破裂しそうだ。
嫌な
嫌な予感しかしなくて。
ユチョンは外へ出て人気の無い方に周ると、本文を開いた。
そこには、俺と彼女が結婚式に行った事が書かれていて、
偽りとはいえ、あの女と一緒に笑っている写真が貼付けられていた。
ユチョンは無意識に、彼女の名を呼んでいた。
俺は君にあの日の事を話してなかったのに、こんな形で伝わっていたなんて。
自信満々なあの女の「彼」という文字に、ユチョンは怒りでブルブルと震えた。
ジェジュンと2人で食事をしてる写真を送って来たのも故意だったんだろう。
偶然を装って、彼女を知らない振りをして。裏ではこんな風に傷つけておいて...
ユチョンは唇を強く噛んだ
いや、傷つけたのは俺だ。
俺が心配させたらいけない、と言わなかったから。
だからこんな事に.......
目を閉じると、無意識に涙がこぼれた
彼女は何もかも、知っていながら俺には何も言おうとしなかったんだ。
あいつの存在の事も、黙って結婚式へ出た事も。
..............そして、きっと俺がついたもう一つの嘘の事も、きっと....
「それ、Jのお兄ちゃんなんだよ」
ユチョンは自分のした一つ、一つの事が
既に彼女を、自分の知らぬ間に大きく傷つけていた事を知った。
あの時........君は、それを責めようともせず、俺は君に.....
「距離を置こう」
ユチョンは力が抜けて、ドサッとベンチに腰を下ろした。
次から次に、涙が頬を落ちていく。
俺が彼女に....そうさせたんだ....
こんな嫌な男だから、俺が.......